また,仮に,同作業が負担の大きいものであったとしても,亡Aが同業 務を行っていたと認められるのは,いずれも亡Aがうつ病を発症して 相当期間を経過した後の出来事であり,亡Aのうつ病発症との関連は 認められない。
そして,原告は,同作業が社内自己点検までの期限付 きの業務であったと主張するが,同自己点検は,カタボンHiだけを 対象とするものであり,E課長も,亡Aに対し,特に準備することは ない旨話していた。
しかも,E課長が同業務を完成させたのが平成1 0年11月6日であり,その間,大宮工場では,総合試験室が作成し た試験法比較文書で対応しており,業務遂行に支障がなかったことか らすれば,社内自己点検の日が規格書改訂作業の期限とはされていな かったことは明らかである。
d 他の課員の亡Aに対する態度について 品質管理課内における亡Aと部下とのトラブルについては,亡Aが 現場からの対応要請があったのに,その場で立ち止まって行動せず, 即座に対応しないといったことや製造検査のために現場にいるのにト ラブルの発生にその場で対応しようとせず,他の課員が駆けつけざる を得なかったという怠慢な対応姿勢について,部下から亡Aに苦情が 出たという程度のものであり,飽くまで仕事上のトラブルであって, このことで亡Aと部下との人間関係が悪化することはなかった。
したがって,部下からの批判が,亡Aにとって過重な精神的負担を もたらしたとは認められない。
e 亡Aの労働時間 亡Aの時間外労働及び休日出勤の状況等については,亡Aがタイム カードに打刻した時間あるいは勤務台帳記載の時間以後に時間外労働 をしていた事実を認めるに足りる証拠がない以上,亡Aの時間外労働, 有給休暇取得日数,休日出勤日数については,タイムカード及び勤務 台帳をもとに算定するほかない。
そして,亡Aが平成8年10月に品質管理責任者に就任する前約6 か月間の平均合計時間外労働時間は1か月当たり約19.1時間,平 成9年4月に品質管理係長に就任する前約6か月間の平均合計時間外 労働時間は1か月当たり15.8時間であり,品質管理係長就任後約 6か月の平均合計時間外労働時間は1か月当たり約11.6時間であ り,これらは1か月当たりの時間外労働時間として決して長時間とい えないことは明らかである。
また,亡Aは,平成8年5月から平成9年11月までに,4日間の 休日出勤をし,その全てについて代休を取得しているし,さらに,計 12日間の有給休暇を取得している。
なお,原告は,亡Aが,平成9年9月17日から同年11月7日ま での間にほぼ毎日職場で行ったJとの勉強会により長時間の残業を行 ったと主張するが,タイムカード等の客観的な証拠及びJのその他の 供述に照らし,出勤日数34日のうち,勉強会が行われていないこと が明らかな日が少なくとも17日ある。
また,任意の,しかも当時の 上司等からみて不必要であると考えられるような勉強会への参加である以上,これをもって時間外労働時間に算入することは不当である。

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